子供の歯の着色や黄ばみの原因は?
お子様が大きく口を開けたとき、仕上げ磨きをしているとき、ふと着色が気になったことはありませんか?
お子様ご自身で着色を気にされることは少ないでしょうが、歯磨きが不十分であったり、虫歯であったりということもあります。全体的な黄ばみがひどいとき、部分的に目立つ黄ばみがあるときには、特に注意が必要です。お早目にご相談ください。 なお、黄ばみの原因には、以下のようなものが挙げられます。
永久歯は元々少し黄ばんでいる
歯は何色かということを考えると、「白」という答えになります。しかし、厳密には「真っ白」ではありません。うっすらと黄ばんでいるのが普通です。鏡で歯をよく観察してみると分かりますね。
自然なグラデーションでほんのり、どの歯も同じように黄ばんでいるだけという場合には、まず病的なトラブルの心配はいりません。
着色汚れ
大人と同じように、子供の歯も飲食物で着色します。特に、色の濃い飲食物をよく口にする方は、黄ばみが強くなります。こちらも特に治療は必要ありませんが、着色が強いということは、歯磨きが不十分であったり、食後すぐ歯を磨けていないということも考えられます。
食後すぐに、適切な歯磨きを行っていれば、通常それほど強い着色は起こりません。歯磨きのタイミングを改めたり、歯科衛生士の歯磨き指導を受けたりといったことが必要になります。
歯垢がついている
食後すぐに歯を磨かない、磨き残しがあるという場合には、歯面に歯垢(プラーク)が残り、その色で黄ばんで見えることがあります。
見た目の問題だけでなく、虫歯リスクが高い状態でもありますので、早めに歯科医院を受診して歯磨き指導やクリーニングを受けましょう。歯石が溜まっている可能性も高いと言えます。
虫歯
虫歯が進行すると、歯が黄ばんで見えることがあります。部分的な強い黄ばみ、あるいは黒・茶色の点や線となって現れている場合には、虫歯が疑われます。
治療が必要ですので、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
①ご家庭でできる!子供の歯の着色、黄ばみの落とし方
着色汚れや歯垢の付着を原因として起こる黄ばみは、ご家庭で改善が可能です。歯磨きが基本となります。
歯磨き
お子様に合った歯ブラシを選ぶこと、食後すぐに歯を磨くこと、歯を一本ずつ磨く意識を持つことなどがポイントです。
ただし、「歯を白くする」ことにこだわり過ぎて強く磨かせたり、お子様が嫌がるほど頻繁に歯磨きをさせたりといったことにならないように注意しましょう。
②歯医者でできる!子供の歯の着色クリーニング
歯科医院では、さまざまな黄ばみ対策が可能です。いずれも、歯・お口の健康のためにもなるものですので、歯科医師・歯科衛生士と相談しながら、お子様に合ったものを定期的に受けましょう。 もちろん、虫歯がある場合にはその治療が必要です。
スケーリング
スケーラーと呼ばれる器具を用いて、歯垢、歯石を落とします。その二次的な効果として、黄ばみが改善されます。
エアフロー・ジェットクリーニング
パウダーを強力に吹き付け、歯垢、歯石、着色を落とします。痛みなく効率的な効果が得られるクリーニングです。
PMTC
専用の器具を用いて行われる、特別な歯面清掃です。こちらも歯垢、歯石、着色が落とせます。治療後は歯の表面がツルツルになっており、歯垢の付着や着色が起こりにくくなります。
フッ素塗布
虫歯予防に効果的なのが、高濃度のフッ素を歯に直接塗布する「フッ素塗布」です。
着色を落とすわけではありませんが、虫歯を予防することで、虫歯による着色のリスクを低減させることが期待できます。
虫歯の治療
歯を削り、詰め物や被せ物で修復します。保険診療の場合には金属の材料を使うこともありますが、虫歯が小さければ、レジンを充填して自然な見た目へと回復させることも可能です。
自費診療であれば、セラミックを使うこともできます。
定期検診を受ける
定期検診の目的は、虫歯や歯肉炎といった口腔トラブルのチェックです。歯磨き指導も受けられますので、着色の予防という意味でも有効です。
もちろん、トラブルの早期発見・早期治療ができる点も大きなメリットです。
子供の歯にはNG?やってはいけない処置とは
インターネット上ではさまざまな便利な情報が得られますが、その中には医学的・歯学的に正しくない情報も存在します。 以下の方法は、いずれも確かに歯を白くする効果が期待できるものです。しかし、それ以上のデメリットが存在し、お口の健康を考えたときには、おすすめすることはできません。 これ以外にも、「こんな方法を見たのだけれど、正しいのかな?」ということがありましたら、試す前に歯科医師や歯科衛生士に確認するようにしてください。
重曹での歯磨きは避けるべき
「人体に無害」ということで掃除や洗濯など安心して使える重曹ですが、歯磨きへの使用は厳禁です。
実際に歯が白くなるようですが、これは研磨によるものであり、エナメル質には小さな傷がたくさんつきます。一時的な効果が得られても、その後汚れが溜まりやすくなります。また、重曹の使用によって口腔がアルカリ性に傾くことで、歯石が付着しやすくなることが指摘されています。
イチゴ、レモン歯磨き
イチゴやレモンの果汁・果肉は、強い酸性を示します。歯磨きに使用して歯が白くなるのは、酸によってエナメル質が溶けているためです(虫歯菌が出す酸でも歯は溶けますね)。
食べることに問題はありませんが、歯磨きへの使用は絶対におやめください。
大人用の研磨剤入り歯磨き粉
大人用の研磨剤入りの歯磨き粉はおすすめしません。研磨剤によってエナメル質が削れてしまうため、一時的に白さが得られても、その後汚れが溜まりやすくなります。また、知覚過敏の原因にもなります。
歯科医院としては、お子様だけでなく、成人される方にもおすすめしない歯磨き粉です。