初期虫歯は痛くないけど治療した方がいいの?
初期虫歯は、虫歯菌の出す酸によってエナメル質が溶け始めたばかりの小さな虫歯のことを指します。CO~C4の段階でいうと、「CO」にあたります。
初期虫歯は、フッ素塗布と丁寧なセルフケアで進行を防いだ方がいい場合と、歯を削る治療を行った方がいい場合に分けられます。
このような場合は初期虫歯かもしれません
奥歯の溝に見える黒っぽい線、黒っぽい点
奥歯には前歯と異なり、咬合面に溝があります。食べ物を噛み砕くためにこのような形になっていますが、奥歯の溝は汚れが溜まりやすいポイントです。
溝に黒っぽい線、黒っぽい点がある場合には、虫歯の可能性があります。歯ブラシで磨いてみて色が落ちないようであれば、一度ご相談ください。
歯間に生じた茶色っぽい変色
歯と歯のあいだに沿って、茶色っぽく変色しているケースです。
特に、前歯の歯間に発生しやすい初期虫歯です。歯ブラシで磨いてみて茶色が落ちないようであれば、ご相談ください。
ホワイトスポット
歯の表面に部分的に生じる白濁を「ホワイトスポット」と呼びます。大きさや形はさまざまで、点のように発生したり、帯状に発生したり、いびつな形をしていたりします。
先天的なエナメル質形成不全症が原因になっている場合もありますが、ご家庭での正確な判断はできませんので、当院にご相談ください。
初期虫歯は治療せず進行を防ぐ
大きく以下の2つの理由により、初期虫歯は基本的に、歯を削らずに「フッ素塗布+丁寧なセルフケア」で進行を抑制することを優先します。
削って修復する治療は二次虫歯のリスクが大きくなる
歯を削ると、歯質が弱くなります。また、詰め物をすると、天然歯の境目にはどうしても汚れが溜まりやすくなります。
そのため、その後の虫歯リスクが高くなってしまいます。
修復物は必ず壊れてしまう
歯を削ったあとに使う修復物は、いつか必ず壊れてしまいます。保険の詰め物の場合、耐用年数は5年ほどです。
詰め物を交換する際、基本的には再度歯を削る必要が生じます。歯を削ることで、歯質がさらに弱く、また汚れが溜まりやすくなり二次虫歯のリスクが高まります。
こんな初期虫歯は治療しましょう
ただし、以下のようなケースでは、たとえ初期虫歯であっても歯を削って治療をした方が良い場合があります。
- セルフケアの改善が難しい方
- 進行を抑えるフッ素塗布のための通院が難しい方
- 定期検診に通うことが難しい方
こういった場合には、「フッ素塗布+丁寧なセルフケア」で虫歯の進行を抑制する対応をとると、逆にリスクが大きくなってしまいます。
セルフケアの指導、フッ素塗布・定期検診が必要な理由の説明など、できる限りのことはさせていただきますが、どうしてもできないという場合には、歯を削ってレジンを詰める治療などをおすすめします。