マスク着用で口呼吸になる!?
新型コロナウイルス感染症の感染対策として、屋外や幼稚園・保育園、学校でのマスク着用が当たり前の習慣となりました。
このマスクの常時の着用により、口呼吸のお子様が増えているようです。
どうしても着用中は息苦しくなるため、楽に呼吸ができる口呼吸に頼ってしまっているものと思われます。
健康を守るためのマスク着用ですが、お口の健康を損なう可能性のある口呼吸の習慣はできる限り改善すべきと言えます。
お子様の様子でこのような気になる症状ございませんか?

- テレビを観るときなどにポカンと口があいている
- 鼻が詰まりぎみで、鼻呼吸ができていない
- 夜中、いびきをかいている
- 歯を磨いているのに口臭が強い
- 頻繁に口・喉が渇く
普段、上記のような様子・症状が見られる場合には、口呼吸になっている可能性があります。
口呼吸は、さまざまなトラブルの原因となり得るため、気づいたときにはお早目にご相談ください。
子供の口呼吸が起こすトラブル
口呼吸は、以下のようなさまざまなトラブルの原因となります。健康を守るためのマスクが、お口の健康を損なうことにならないよう、早めの改善が必要です。
虫歯や歯肉炎、口臭
口腔が乾燥することで、唾液の持つ自浄作用、再石灰化作用がうまく機能せず、虫歯や歯肉炎のリスクが高くなります。
また、汚れが溜まりやすく、口臭も強くなります。
歯並びの乱れ
口呼吸によって、舌が正常な位置に収まりづらく、上顎の発達に悪影響を及ぼします。
また、鼻呼吸であれば鍛えられるはずのお口まわりの筋肉が発達しにくいため、歯並びの乱れの原因となります。
風邪をひきやすくなる
鼻呼吸の場合、鼻水や鼻毛によって、外からの異物の侵入を防ぐことができます。
一方で口腔にはそのような機能は備わっていないことから、口呼吸の習慣があると、ウイルス・細菌が簡単に入り込み、風邪などを引きやすくなります。
将来的にマスクをしなくてもよい生活に戻れたとき、そのリスクは余計に高くなります。
睡眠時無呼吸症候群
日中に口呼吸になっているお子様は、就寝中も口呼吸になっています。
舌が気道を塞ぐことで、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす可能性が高くなります。
顔貌への影響
お口まわりの筋肉が正常に発達しなかったり、舌の位置が下がることなどによって、顔貌にしまりがなくなる可能性があります。
集中力の低下
吸気による脳下垂体の冷却がうまくいかず、集中力が低下してしまうことがあります。
口呼吸の治し方
「口じゃなくて鼻で呼吸するようにしてね」とお子様に言っても、なかなかうまくはいきません。
また、鼻詰まりなどがあり、やろうと思っても難しいということもあります。
歯科医院、その他医療機関などを受診し、原因にアプローチすることで改善が可能です。
歯科医院の場合
お口まわりの筋肉の発達に問題がある場合には、MFT(口腔筋機能療法)を行います。
ご自宅でも取り組んでいただける簡単なトレーニングで、唇、舌、頬の筋肉を鍛え、口呼吸を鼻呼吸へと移行させます。
舌癖がある場合には、その改善も期待できます。
歯並びに問題がある場合には、上顎前方牽引装置などによる矯正治療も並行して行います。
その他医療機関の場合
鼻詰まりについては、内科や耳鼻科・耳鼻咽喉科での治療が可能です。
慢性の鼻詰まりは、アレルギー性鼻炎、アデノイド肥大、鼻中隔湾曲症などが疑われますので、耳鼻咽喉科がおすすめです。
口呼吸は口臭の原因にも
大人の口臭の原因として多いのは歯周病ですが、お子様の場合は口呼吸を原因として口臭が強くなるケースがもっとも多くなります。
お口が乾燥し、唾液の自浄作用がうまく働かないことで、食べかすや細菌が長く留まり、口臭が強くなるのです。
「口が臭い」ということで、いじめにつながるケースも見られます。口臭は、お子様にとってもデリケートな問題です。
お子様の口臭が気になるときは、できれば本人には直接指摘せず、一度当院にご相談ください。