前歯が欠けた・折れたまま放置すると
事故や転倒などで、前歯が欠けたり折れたりしたときに放置してしまうと、次のようなリスクが生じます。欠けた・折れた原因に関わらず、すぐに歯科医院を受診しましょう。
虫歯のリスク
前歯歯が欠けたり折れたりして象牙質が露出すると、虫歯のリスクが高まります。本来露出するはずのない組織ですので、虫歯の進行も早くなります。
噛み合わせが乱れるリスク
前歯が欠けた・折れたまま生活していると、自然、噛み合わせが乱れます。食べ物を噛み切ることが難しくなり、胃腸への負担も大きくなります。
舌がんのリスク
欠けた・折れた部分が鋭利であると、舌を傷つけ、舌がんの原因になることがあります。
歯が折れる・欠けてしまう原因
ぶつけるなどのケガ(外傷)
事故や転倒、あるいは喧嘩などで硬いものとぶつかると、前歯は簡単に欠けたり折れたりします。
神経まで進行した虫歯
虫歯が神経まで進行すると、血管を通した栄養の補給がうまくいかなくなり、歯は欠けやすく・折れやすくなります。治療で神経を除去した場合も同様です。
歯ぎしり・食いしばり・悪いかみ合わせ
歯ぎしり、食いしばり、噛み合わせの乱れなどによって、歯に少しずつダメージが蓄積していきます。あるとき限界を超えると、欠けたりヒビが入ることがあります。
食事中に硬いものを噛んでしまった
硬いものを噛んで歯が欠ける・折れることもあります。
歯が欠けた・折れた時の治療法
小さく欠けた場合
肉眼ではほとんど確認できないくらいに小さく欠けた場合は、尖っている部分を削って滑らかにする処置で済むことがあります。それ以外の場合は、以下の方法で修復するのが一般的です。
コンポジットレジン充填
歯科用プラスチックを直接充填します。いわゆる「詰め物」とは異なり、型取りは必要ありません。
ラミネートべニア
尖った部分を滑らかにした後、前歯を薄く削り、加工したセラミックを貼り付けます。歯の形はもちろん、大きさ、色も調整できます。
ハイブリッドセラミック
セラミックと歯科用プラスチックを混ぜた材料「ハイブリッドセラミック」で修復します。
大きく欠けた場合
神経が残っている場合には、支台歯の形を整えた上で被せ物を取りつけます。神経が露出している場合には、それに加えて被せ物を取り付ける前の根管治療、土台(コア)の取り付けが必要になります。
セラミッククラウン
オールセラミッククラウンなどの適応となります。
患者様のご希望や使用する部位に応じて使い分けます。いずれを使用した場合も、天然歯と見分けがつかないほど美しく仕上げることができます。
歯の神経の治療が必要な場合
歯の神経の治療を行い、土台(コア)を入れる
前歯が欠ける・折れるなどして神経が露出している場合には、根管治療を行った上で、土台(コア)を入れ、その上から被せ物を取りつけます。
神経を失った歯は、栄養が行き届かずに脆くなるため、土台が必要になります。保険診療では金属製の「メタルコア」を、自費診療ではグラスファイバー製の「ファイバーコア」を使用します。
歯が抜けてしまった場合には
事故などにより、前歯や他の歯が根元から抜けてしまうことがあります。
そんなときは、口の中に含むか、できれば生えていた位置に戻して、一刻も早く歯科医院を受診してください。再植が可能な場合があります。
口の中に含めない場合には、牛乳又はコンタクトレンズの保存液に浸けて受診してください。
抜けた歯が汚れている場合には、牛乳またはコンタクトレンズの保存液で洗っても構いませんが、それ以外の水などでは洗わないでください。歯の根の歯根膜を傷つけないためです。歯根膜が傷つくと、再植が難しくなります。
歯が欠けた・折れた時はまず歯医者さんへ!
欠けたり折れたりした歯は、非常に鋭利になっています。食事が難しくなりますし、お口の中を傷つけるおそれがあります。また、汚れが溜まりやすく、虫歯のリスクも高まります。
見た目が気になる・気にならないにかかわらず、前歯が欠けた・折れたときにはすぐに歯科医院を受診してください。