差し歯とは?
差し歯の構造って?どうなっているの?
「差し歯」は、虫歯や事故などで歯の大部分を失ってしまった場合に使用します。根っこだけ残っている天然歯に、人工の土台を入れ、その上に人工の歯冠部(外から見えている部分)を取り付けたものです。
また、この人工の土台のことを「コア」、人工の歯冠部のことを「被せ物」「クラウン」と呼びます。
保険内とセラミック(自費診療)は何が違うのでしょうか?
差し歯は、保険診療でも自費診療でも作れます。ただ、保険診療と自費診療では被せ物やコアに使用する材料が異なります。
01.被せ物、コアに使用する材料の違い
被せ物については、保険ではプラスチックや金属を、自費では主にセラミックを使用します。
またコアについては、保険では金属(メタルコア)、自費ではグラスファイバー(ファイバーコア)をそれぞれ使用します。
これにより、さらに以下のようなさまざまな違いが生じます。
02.見た目の仕上がり
被せ物に使用するセラミックは、白い陶製の材料です。白さだけでなく、透明感も天然歯に極めて近くなっています。また、保険の材料と比べると着色しにくく、その白さが長持ちします。
コアは、外から見えることはありません。しかし、セラミックの下に金属のコアを使用すると、コアの色がうっすらと透けて見えてしまうことがあります。天然歯と同じ色で作られているファイバーコアでは、この心配がありません。
03.虫歯、歯周病リスク
セラミックは、その表面にプラークが付着しにくくなっています。
保険で使用する材料と比べると、虫歯や歯周病のリスクが抑えられます。
04.金属アレルギーのリスク
自費の被せ物に使用するセラミックには、金属が一切含まれていません。一方で保険診療の場合、金属を用いることが多くなります。
お口の中に少しでも金属があると、金属アレルギーのリスクが生じます。そのため、金属アレルギーの方、金属アレルギーが心配な方は、被せ物にセラミックを、コアにファイバーコアを選択することが大切です。
05.治療費
保険診療の場合、治療にかかる費用の自己負担は2~3割です。一方で自費診療の場合、自己負担は10割となります。
自費診療の場合は使用する材料や工法、またその歯科医院の方針などにより、料金が大きく変わります。
保険治療の場合
前歯の場合は、金属の被せ物の表側にプラスチックを貼り付けたものを使用します。これにより、正面から見たときには金属が見えません。
奥歯の場合は、外から見えにくく、また強い力がかかるため、金属の被せ物のみを使用します。いわゆる「銀歯」です。
コアには、金属のメタルコアが使用されます。
自費診療の場合
セラミックのみを使った被せ物を使用するのが基本です。セラミックには、スタンダードな「オールセラミック」や、硬度に優れる「ジルコニア」など、いくつかの種類があります。
おすすめ!前歯と奥歯の差し歯の治療法
どの歯の治療であるのか、その患者様の噛む力がどれくらいなのか、歯ぎしり・食いしばりはあるのか、あるいは患者様が何をご希望されているかといったことから、適切な材料を選択します。
オールセラミック
スタンダードなセラミックの差し歯です。見た目は、天然歯とほとんど変わらない色調に調整できます。
メリット
- 天然歯と変わらない見た目
- 白さが長持ちする
- プラークが付着しにくい
- 金属アレルギーの心配がない
- 歯の色だけでなく、形、大きさも調整できる
デメリット
- 強い力がかかったときに割れることがある
ジルコニア
人工ダイヤモンドにも使用される、圧倒的な硬度を誇るセラミックです。強い力のかかる奥歯にも安心して使用することができます。
それでいて、オールセラミックと変わらない自然な美しさを再現できます。
メリット
- 天然歯と変わらない見た目
- 奥歯にも安心して使用できる
- プラークが付着しにくい
- 金属アレルギーの心配がない
- 歯の色だけでなく、形、大きさも調整できる
デメリット
- 絶対に割れないということはない
ラミネートべニア
セラミックを薄く加工し、歯(主に前歯)の表側の全面に接着します。
歯の表面を削らなくてはならない場合と、削らずに貼り付けられる場合があります。ホワイトニングで効果が得られなかった場合にもおすすめです。
メリット
- 歯を少量削るだけで、セラミックの美しさが手に入れられる(全く削らないことも)
- 歯の色だけでなく、形、大きさも多少であれば調整できる
デメリット
- 歯の表面を薄く削ることがある
- 剥がれてしまうことがある(再接着が可能)