保険適用でインプラント
治療費がおさえられる?
インプラントは、原則として自費診療となります。
ただ、ごく一部の限られた症例においては、保険適用でインプラント治療を受けられます。
インプラントが保険適用になる場合
以下のような症例においては、インプラント治療が保険適用で受けられます。
- 先天的な疾患によって顎の骨の3分の1以上を欠損している
- 先天的に顎の骨が形成不全をきたしている
- 事故、病気によって顎の骨が欠損している
インプラントが保険適用にならない場合
反対に、以下のような症例においては、インプラント治療は自費診療となります。
- 虫歯、歯周病、事故などで歯を失った
- 加齢により顎の骨が吸収され歯を失った
- 見た目、機能の改善を目的としている
割合としては、圧倒的にこちらが多くなります。
インプラントが保険適用になる歯科医院の条件
インプラントが保険適用となる症例であっても、どの歯科医院でのその治療を受けられるわけではありません。
インプラント治療を保険診療として実施できる歯科医院は、以下の条件を満たしている必要があります。
- 20床以上の入院用のベッドが完備されている
- インプラント治療の経験が3年以上あり、なおかつ歯科・口腔外科で5年以上の経験がある常勤の歯科医師が2名以上在籍している
- 当直の体制が整っている
- 医薬品、医療機器を安全に使用できる管理体制が整っている
これらの条件を満たすのは、大学病院・基幹病院などです。インプラントが保険適用となる方が当院にお越しになった場合には、速やかに連携先の病院をご紹介いたします。
歯医者の「保険診療」と「自由診療」の違いとは・・?
保険診療
健康保険が適用される診療(診察・検査・治療など)のことを指します。
自己負担額、つまり窓口で実際にお支払いになる金額は、実際にかかった医療費の原則3割で済みます。(年齢、所得に応じて2割、1割になります)
ただし、保険診療で行われる治療には厳格な決まりがあり、規定の材料や工程を守らなければなりません。たとえば入れ歯の場合、保険診療であれば人工歯も人工歯肉も、すべて歯科用プラスチックで作ります。
自由診療
保険診療で定められた材料や工程を少しでも外れた場合には、自由診療(自費診療)となります。自己負担額は、年齢や所得にかかわらず、原則として実際にかかった医療費の100%です。
材料・工程に制限がなくなるため、審美性や機能性を追求することができます。入れ歯の場合、人工歯にセラミックを使ったり、人工歯肉に一部シリコンを使ったりすることも可能です。なおインプラントは、先述の通り、ごく限られた症例を除き自由診療となります。
インプラントは生命保険の
「先進医療保険」の
適用にならないの?
将来的な保険診療への切り替えが見込まれている先進的な医療技術のことを「先進医療」と呼び、各保険会社から「先進医療保険」という商品が出されています。
現在のところ、インプラントは先進医療に定められておらず、先進医療保険の対象にもなっていません。そのため、インプラント治療を受けて先進医療保険を利用する、ということもできない現状にあります。
少しでもインプラント
治療費の負担を軽減する方法
医療費控除制度や高額療養費制度を利用すれば、インプラントの治療費の負担を軽減することが可能です。
これらの制度を利用したことで生じるデメリットなどは基本的にありません。条件を満たす場合には、積極的に利用しましょう。
医療費控除
家族が1年間(1月1日~12月31日)で支払った医療費の合計が10万円を超えたとき、確定申告を行うことで控除が受けられ、所得税・住民税の金額に反映され一部が還付される制度です。
算出してみましょう!
医療費控除は、以下の計算式で算出できます。
(医療費総額-保険金補填額)-{10万円(※1)}=医療費控除額(※2)
※1:年間の所得額が200万円以下の場合所得額の5%
※2:最高200万円
所得税・住民税が具体的にいくら還付されるのかは、所得金額によって異なります。国税庁のホームページを参考に計算する必要があります。
医療費控除の書き方や必要な書類
保管していた領収書をもとに、「医療費控除の明細書」に必要事項を記入します。医療費控除の明細書は、国税庁のホームページでダウンロードするか、税務署で受け取るかして入手します。
なお、健康保険組合等の発行する「医療費通知(医療費のお知らせ)」の添付があれば、医療費控除の明細書への明細記入を省略することができます。
必要書類
医療費控除制度を利用する場合には、確定申告で、以下の書類を提出する必要があります。
- 確定申告書
- 医療費控除の明細書
- 医療費のお知らせ(医療費通知)※あれば
- 交通費などの領収書
- 源泉徴収票
高額療養費制度
高額療養費制度とは、歯科医院を含める医療機関、薬局などで支払った医療費が、ある1カ月で一定の上限額を超えた場合に、その超えた分の金額の支給を受けられる制度です。
「上限額」は、年齢や所得水準によって異なります。たとえば年収が約370万円までの69歳以下の方の場合、1カ月の上限額は世帯あたり57,600円となります。
インプラント治療を行う場合、多くのケースで利用できる制度です。